
クリスマスを彩る一大プロジェクトの舞台裏
2023年11月に開業した麻布台ヒルズ。オープン1ヶ月後には煌びやかで美しいクリスマスマーケットを開催し、訪れた人々の心を温めました。博展では企画からデザイン・制作・運営までをワンストップでサポート。「本場さながらのクリスマスマーケット」を麻布台ヒルズらしく昇華させるために、数々の課題をチーム一丸となって乗り越えました。過去最大規模のプロジェクトに携わった4名のプロジェクトメンバーが、華やかな麻布台クリスマスマーケットの舞台裏を振り返ります。

- 長谷川 皓一 / 制作ディレクター
- 2016年中途入社。「新しいことができると思うとワクワクします」と課題をポジティブに乗り越える姿勢が持ち味。オリジナルのユニフォームを考案するなど、社内でも積極的にアイデアを具現化する。
- 上原 可琳 / 制作
- 2023年新卒入社。初年度は制作アシスタントとしての関わりだったが、2期目に当たる2024年度から本格的にプロジェクトへ参加。スタジオでの実制作、施工現場の制作指揮や施工パートナーの窓口を担っている。
- 橋本 果菜 / 企画営業
- 2019年新卒入社。幼い頃からダンスに励み、リアルな体験が人の心を動かすと身を持って実感して博展へ。イベントに来場したゲストの喜ぶ顔を近くで見るのが仕事のやりがいに。
- 松井 渉 / デザイナー
- 2019年新卒入社。CGを使ったビジュアル作りが得意。本プロジェクトでは根気強く課題に向き合う姿勢と自分の武器を活かしたビジュアライゼーションでクライアントの信頼を獲得。

地道な勉強と綿密な検証を繰り返して高いクオリティを実現。
−施設が完成していない状態からスタートした本プロジェクト。クライアントを含めた全員が全貌を把握できない状況でどのように進行していきましたか?
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- 本場ヨーロッパの伝統的なクリスマスマーケットのようなオーセンティックなイベントを実現させるという要望でした。僕はこの分野に関して無知だったので、デザインに落とし込む前にあらゆる本を読み漁り、クリスマスのマーケットについての基礎を勉強するところからスタートしました。
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- 麻布台ヒルズで初めて開催する大型イベントでしたので、パターンの検証は博展も先方も一切の妥協はありませんでした。具体的な実施を想起できるよう、限られた時間の中で勉強と検証を無数に繰り返し行いましたね。
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- 通常であれば事前に現場を見てイメージを膨らませるのですが、開業前ということもあって本プロジェクトはそれが出来ない状況でした。デザインパースや図面を基に構造や施工計画を考えるのは至難の業。完成したエリアから現地調査を行い、熟考を重ねました。

−数々の課題が浮き彫りになる中で、クライアントとの信頼関係をどうやって築いたのですか?
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- 営業だけが前に立つのではなく、クライアントとはチーム全員でコミュニケーションを取るように心掛けました。意匠計画から実施設計、制作、運営など一気通貫で手掛けられるのは博展の強みだと自負しています。各々が必要な場面でクライアントとの連携を直接取れたことで、より深い信頼に繋げることができました。
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- 根気強くビジュアルの検証を繰り返し、クリスマスマーケットらしいプレイフルで温かみのあるデザインを提案できました。自分自身が手応えを感じたように、そこからクライアントからの信頼を得たように思います。

-3ヶ月という短期間で制作と納品を完遂させたと聞きました。実施設計や施工時を振り返ってみていかがですか?
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- 僕の仕事はデザインを実現させることなので、実施設計について松井くんと夜通し議論を重ねて進めていきました。地道な作業ではあるものの1 : 1のスケールで何度も検証を行い、結果的にパースよりも美しい納品物に昇華することができました。
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- 施工日の直前のこと、マーケットのハウス部分と屋根を組み立てる工程の際に、上部のドレープが干渉するためにクレーンを使った作業ができないことが判明。急遽、施工パートナー会社の関係者とも相談して難を逃れましたが、今でも社内の制作メンバー内で語り継がれるほど大変な作業でした。
この経験を糧に各々の理想の未来へ。
-完成後、実際の反響はいかがでしたか?
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- 私は運営にも携わっていたので、来場者の反応を直接見ることができました。皆さんがドレープのイルミネーションの前で、キラキラした目をしながら「麻布台ヒルズのクリスマスが一番キレイ」とお話しているのを見た時は素直に嬉しかったですね。クライアントにも仕上がりを見て満足いただけました。プレッシャーで泣いてしまったこともありますが、この案件を担当できて良かったと心から感じています。
-2年目も会期がスタートしたそうですが、初年度の経験を活かせた部分はありました?
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- 昨年の反省を活かして順序良く施工できる方法を検討できたので、現場の設営がストレスなく進められました。ただ、パートナー会社の方々と上手く連携が取れない場面が度々あり、個人的に後悔が残ることも。この経験をバネにして、次回はより良い現場作りに貢献したいです。

-プロジェクトを振り返って、成功した要因はどんな点にあったと考えられますか?
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- 「この難しい課題を妥協せずに成功させてやる」というポジティブな空気がチームに流れていました。全員のそういった姿を見ると、「私も負けてられないな」と感化されましたね。クライアントやパートナーのスタッフを含めた全員が、プロジェクトの成功に向けて足並みを揃えられたことも、成功した理由の一つではないでしょうか。
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- 今までにない規模感のプロジェクトのため、社内では何か困難に直面する毎に話をする機会を設けていました。疑問や不安をその場で解消し、プロジェクトに対してチーム一丸となって取り組めたので、様々な課題を乗り越えていくことができたと考えています。

-今後の展望を教えてください
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- 実際の海外のマーケットに足を運び、その知見を活かして麻布台ヒルズのクリスマスマーケットをより良くアップデートしたいですね。クライアントの皆さまと新しく一緒に作り上げていきたい。あとは、チームの皆がそれぞれの分野でトップのプロであるように、自分自身も人から認められるような営業に成長したいです。
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- 何年も続くイベントのデザインに初めて携わり、地域や来場者にとって意義のあるものを残せたことが大きな経験になりました。麻布台ヒルズのクリスマスマーケットは日本でもトップクラスの規模が実現できたので、より大きなスケール感でイベントをクリエーションしたい。海外でもこのチームで仕事ができれば最高ですね。
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- このプロジェクトは制作マンとして鍛えられる現場なので、自分のライフワークとして今後も携われたら嬉しいです。この経験は自分の糧としてずっと残っていくものだと考えています。
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- 麻布台ヒルズのクリスマスマーケットが東京の冬の風物詩になって欲しいです。個人的にはファッションショーの演出などにも興味があり、今後も新しいことに挑戦する姿勢を大切にしたいです。

本プロジェクトの参加メンバー
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企画営業 橋本 果菜
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制作ディレクター 長谷川 皓一
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デザイナー 松井 渉
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制作 上原 可琳