BtoB企業の課題を理解し
伴走して解決に導くチーム

ガラス・電子・化学品・セラミックスといった、数多くの分野でトップクラスのシェアを誇るリーディングカンパニーのAGC株式会社。主力であるフッ素樹脂製品「Fluon®︎」が50周年を迎え、2023年に「化学品カンパニープライベート展」と銘打った盛大な展示会が開催されました。その記念すべき特別企画展を博展がトータルでサポート。意外に知られていない同社のフッ素化学品の魅力をどのように引き出したのか?BtoBの大手企業が抱える課題をどのように解決して成功へと導いたのか?携わった3名のプロジェクトメンバーに話を聞きました。

左から
武井 俊樹 / 制作ディレクター
2022年中途入社。「面白みのあるブースが作りたい」との想いを持って博展へ。クライアントの意向を忠実に再現しつつ、初志貫徹の美学を貫いたオンリーワンのプロダクトを生み出す。
田口 幸平 / 企画営業
2019年中途入社。「人の喜ぶ顔が好きなんです」と時に笑いを織り交ぜながら話す、柔和な営業スタイルでクライアントの心を掴むのが得意。持ち前の明るさで数々の困難を切り抜けてきたムードメーカー。
阿部 一美 / プランナー
2022年新卒入社。当社が掲げるパーパスに魅了されて入社。困難な仕事ほど「逆に楽しめるんです」という好奇心旺盛な気質で、“クライアントの喜ぶ顔”が仕事のモチベーションに。

クライアントが抱える課題をクリアしながら展示を創造

−プライベート展を開催するにあたって、どのような課題があったのですか?

田口
AGC社には叶えたいことが3つありました。1つ目は同社がお取り引きされているパートナーのみなさまに感謝の気持ちを伝えること、2つ目はフッ素の魅力を展示で引き出して欲しいということ、3つ目は来場される方にフッ素がどのような物かを知ってもらうことでした。
阿部
その3つの課題を踏まえ、プランナーとして考えたのは人が集まる場所にしたかったということ。“イノベーションを起こす中心となって欲しい”というコンセプトから、イベント会場を回遊できるような動線を作りました。そして、最後のセクションに同社がフッ素を回収し、リサイクルに取り組んでいる姿勢を展示。アテンドされるAGCのスタッフと来場者との会話が広がって欲しいという想いを込めました。
武井
短い期間での納期も課題でした。展示の内容を提案するまでに2週間で、最後のアウトプットするまでに必要な時間は約2ヶ月。
阿部
通常であればトータルで3ヶ月が必要なところ、およそ1ヶ月半で完結させたのも困難でしたね。
田口
パースでの提案が間に合わないため、手描きのスケッチをクライアントに提出しました。そのスケッチを基にクライアントと想像を膨らませて展示を作り上げました。
武井
展示会ではAGCのテクニカルセンター内にある協創空間「AO」にて実施されました。いわゆる展示会場ではないクライアントの生産工場内での施工でした。他のイベント会場と施工のルールがまったく違い、カッターなどの刃物が使えなかったのも難しかった。もしも怪我人が出てしまうと、工場内の稼働ラインをストップせざるを得ない状況になり、AGCの社会的信用がなくなってしまう可能性も。そのような事態が起こらないよう、クライアントも含めて全員で入念に話し合いながらシミュレーション。「AO」のルールに従いながらスムーズに現場が構築できました。

−どのようにプロジェクトを成功に導いたんですか?

田口
フッ素は元素記号なので無形なんです。それを分かりやすく、目を引くように設計したことがポイントだと考えています。また、AGCの担当者様は我々の意見を否定したり、聞く耳を持たなかったりせず、どんな時でも楽しくディスカッションできました。課題を解決しながら一緒に創り上げている感覚があったことも、成功した理由の一つではないでしょうか。
阿部
フッ素をこれから知る人と同じ目線に立って、クライアントにプランを提示できた点が良かったですね。当初はクライアントに素人的な質問ばかり投げていたのですが、無知なことをマイナスととらえず、フッ素を知っている方もそうでない方も楽しめる“イノベーションサークル”をキーワードにした場所が作れたのではないかと。
武井
僕は営業・プランナー・デザイナーと違い、物を作って納品する制作管理の仕事。それだけに普段はなかなかクライアントと触れ合う機会が少ないのが現状です。ただ、今回はいつもと違う展示会場、短い期間での納品と、あらゆる困難があったため、AGCの担当者と早い段階から直接お話ができました。打ち合わせに積極的に参加することでクライアントに寄り添え、より質の高い納品ができたと自信を持って言えます。

仕事を通じて得られる新しい発見。

−この展示会は半年間の開催だった予定が、とても好評で1年間に期間が延びたそうですね。

田口
そうです。チームで仕事に取り組む意義がありますね。専門知識を持ち合わせたスタッフが集まることで1 + 1 + 1は3じゃなく、もっと大きな数字になってクライアントも満足して喜んでくださったのかなと。最終的にアウトプットしたものに対してお客様が喜び、面と向かって感謝の気持ちを伝えていただけることに幸せを感じています。この展示がきっかけとなり、AGCと他社の開発が複数スタートしたそうです。クライアントのビジネスの発展に少しでも貢献できていることに、私たちも喜びを感じています。
阿部
田口さんのように営業としてクライアントの課題を見つけたり、武井さんのように展示物をゼロから緻密に作り上げたりと、博展は専門性を持ったプロフェッショナルの集団です。ただ、どの社員も任された仕事だけに従事せず、個の力を結集させて高みを目指そうと尽力します。今回のAGCとの取り組みもその一つ。最後のゴールを迎えるまで決して油断することなく、何とかして実現しようと話し合える仲間がいるので、困難な場面に直面しても乗り越えられます。
武井
制作物は自立強度を安全に作っているものの、据え置きで1年間も設置することを想定しておらず、どうしても歪みや劣化で多少の補修をする必要がありました。前述のように工場内での厳格なルールに準拠したからこそ、「博展だから大丈夫」だと思っていただけたのか、開催後はクライアントとの信頼が生まれてよりスムーズに改修作業ができました。

−最後にBtoBの仕事において、一番の醍醐味を教えてください。

田口
ガラスの会社だと思っていたAGCの主力商品の1つがフッ素だったように、自分の常識を覆すような知識を得られることですね。さらに各企業のブランディングを担当することで、一つの案件だけでなく数々のプロジェクトにも関わることができます。点ではなく線でクライアントと密着しながら様々なビジネスに携われるのもやりがいを感じます。
武井
田口さんが言うように、社会の新しい技術や仕組みを知ることができます。自宅で「今はこんな最先端の技術があるんだよ」って、自慢をしながら子供に話すんです(笑)。大人になって社会勉強ができるのはとても貴重な経験ですね。
田口
そんな時代を先取る企業の一助になれる存在は稀有なのかも。会社によってカラーがまったく異なるので、仕事を通じていつも新しい発見ができます。
阿部
展示会を通じて、普段の生活の中で知ることのない現代社会の最先端に触れられるのはBtoBならではですね。技術や製品に強みがある一方、その力を世の中に広めて発信することに課題を抱えている企業が多いのも事実。どのように伝えるとビジネスの成長に貢献できるのか。クライアントと継続的に寄り添いながら、一気通貫の二人三脚で仕事に取り組める博展ならではの介在価値を模索していきたいですね。

本プロジェクトの参加メンバー

  • 企画営業 田口 幸平
  • 制作ディレクター 武井 俊樹
  • プランナー 阿部 一美
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